
商店街やスーパーで見かける「たこ焼き屋」は儲かるのでしょうか?
この記事では
- たこ焼き屋は儲かる?
- 1日の平均売上は?
- 年収1000万は可能か
- フランチャイズ加盟できる企業は有る?
・・・に関して深堀していきます
たこ焼き屋は儲かるのか
結論から言うと、たこ焼き屋は儲かる可能性を秘めています。
しかし、それは「誰でも簡単に儲かる」という意味ではありません。
適切な戦略と努力があれば、十分に利益を上げられるビジネスです。
高い原価率と低価格設定のバランス
たこ焼きの原価は、他の飲食店と比べると比較的低い傾向にあります。
主な材料は、小麦粉、卵、たこ、ネギ、紅ショウガなどですが、これらは大量に仕入れることでコストを抑えられます。
- 原価率の目安: たこ焼き1個あたりの原価は、おおよそ20円~40円程度とされており、売価に対する原価率は20%~30%程度に抑えることが可能です。(ただし、タコの種類やサイズ、こだわりによって大きく変動します)
- 低価格設定: 一般的にたこ焼きは「おやつ」や「軽食」として手軽に購入されるため、1パック(6個入りなど)が数百円程度の低価格で提供されます。この低価格でいかに数を売るかが重要になります。
小スペース・低投資での開業が可能
たこ焼き屋の大きな魅力の一つは、比較的小さなスペースで開業できる点です。
- 初期投資の抑制: 専門的な調理器具(たこ焼き器)や冷蔵庫、レジなどがあれば開業できるため、一般的な飲食店に比べて内装工事費や設備投資を抑えられます。
- 固定費の圧縮: 家賃や人件費といった固定費を低く抑えることができれば、利益を出しやすくなります。
成功の鍵を握る要素
儲かるたこ焼き屋になるためには、以下の要素が不可欠です。
- 立地: 人通りの多い場所、駅前、商業施設内、イベント会場周辺など、ターゲット層が頻繁に訪れる場所を選ぶことが最も重要です。テイクアウト中心であれば、座席数は不要なため、より多くの選択肢があります。
- 味と品質: 大前提として「美味しいたこ焼き」を提供することが必須です。外はカリッと、中はトロッと、そしてタコの食感、生地の出汁の風味など、細部にまでこだわり、リピーターを獲得できる味を追求しましょう。
- 提供スピードとオペレーション: お客様を待たせない提供スピードも重要です。特にランチタイムや夕方の混雑時には、効率的な調理と接客のオペレーションが求められます。
- 差別化: 競合が多い地域では、味付け(醤油、塩、出汁など)、トッピング(チーズ、明太子、ネギマヨなど)、サイズ、オリジナルメニューなどで差別化を図る必要があります。
- 集客・販促: SNSでの情報発信、ポイントカード、季節限定メニュー、イベント出店など、積極的な集客・販促活動も欠かせません。
1日の平均売上は?
たこ焼き屋の1日の平均売上は、立地、提供価格、客単価、回転率などによって大きく変動します。
ここでは、一般的なケースでのシミュレーションをしてみましょう。
- 客単価の仮定: 1パック6個入り500円と仮定します。
- 営業時間: 8時間~10時間程度
- 休日: 週1~2日
ケース1:駅前や商業施設内の好立地店
- 平日: 1時間あたり10パック販売 × 8時間 = 80パック
- 売上: 80パック × 500円 = 40,000円
- 休日(土日): 1時間あたり20パック販売 × 10時間 = 200パック
- 売上: 200パック × 500円 = 100,000円
この場合、週5日(平日)+週2日(休日)で稼働すると…
- 平日売上: 40,000円 × 5日 = 200,000円
- 休日売上: 100,000円 × 2日 = 200,000円
- 週売上合計: 400,000円
- 月売上合計: 400,000円 × 4週 = 1,600,000円
- 年売上合計: 1,600,000円 × 12ヶ月 = 19,200,000円
ケース2:住宅街や商店街の一般店
- 平日: 1時間あたり5パック販売 × 8時間 = 40パック
- 売上: 40パック × 500円 = 20,000円
- 休日(土日): 1時間あたり10パック販売 × 10時間 = 100パック
- 売上: 100パック × 500円 = 50,000円
この場合、週5日(平日)+週2日(休日)で稼働すると…
- 平日売上: 20,000円 × 5日 = 100,000円
- 休日売上: 50,000円 × 2日 = 100,000円
- 週売上合計: 200,000円
- 月売上合計: 200,000円 × 4週 = 800,000円
- 年売上合計: 800,000円 × 12ヶ月 = 9,600,000円
上記はあくまでシミュレーションであり、実際には季節変動(夏場は売上が落ちやすいなど)、天候、競合店の状況など、様々な要因で売上は変動します。
特に、客単価を上げる工夫(ドリンクとのセット販売、大玉たこ焼き、限定トッピングなど)や、イベント出店などの臨時売上も考慮に入れると、さらに売上を伸ばせる可能性があります。
年収1000万円は可能か?
「年収1000万円」という目標は、たこ焼き屋で達成可能でしょうか?
上記の売上シミュレーションを元に考えてみましょう。
年収1000万円を達成するための条件
年収1000万円とは、個人の手取り額ではなく、お店の利益からオーナー自身の報酬として1000万円を確保する、という意味合いで捉えるのが一般的です。
売上から経費を差し引いたものが「粗利益」となり、そこからさらに固定費(家賃、人件費、光熱費など)を差し引いたものが「営業利益」となります。この営業利益の中から、オーナーの年収を確保することになります。
【仮定】
- 年売上高: 2000万円(月平均約166万円)を目指す
- 原価率: 30%
- 粗利益率: 70%
- 粗利益: 2000万円 × 0.7 = 1400万円
【経費の目安】
- 家賃: 月15万円と仮定(年間180万円)
- 人件費: オーナー1人+アルバイト(週20時間程度)で月10万円と仮定(年間120万円)
- ※人件費を抑えるために、開業当初は一人で切り盛りする方も多いです。
- 水道光熱費: 月5万円と仮定(年間60万円)
- 消耗品費・雑費: 月3万円と仮定(年間36万円)
- 販促費: 月2万円と仮定(年間24万円)
- その他(減価償却費、通信費など): 月5万円と仮定(年間60万円)
【年間経費合計】 180万円 + 120万円 + 60万円 + 36万円 + 24万円 + 60万円 = 480万円
【営業利益】 1400万円(粗利益) - 480万円(年間経費) = 920万円
このシミュレーションでは、年売上2000万円を達成し、かつ経費を上記のように抑えることができれば、営業利益として約920万円が残る計算になります。
ここから、所得税や住民税などの税金が引かれますが、年収1000万円に近い金額を自身の報酬として確保することは十分に可能です。
年収1000万円達成のポイント
- 高売上の維持: 上記シミュレーションの「ケース1」のように、月平均160万円以上の売上を継続的に上げられる立地と集客力が必要です。
- 徹底したコスト管理: 特に原価率と人件費は大きな割合を占めるため、食材の仕入れルートの開拓や効率的な人員配置で、無駄を徹底的に省くことが重要です。
- 付加価値の提供: ドリンク販売、サイドメニューの充実、オリジナルトッピングなど、客単価を上げる工夫も必要です。
- 複数店舗展開: 1店舗で限界が見えた場合、複数店舗展開をすることで、売上と利益の総額を大幅に増やすことも年収1000万円達成への現実的な道筋となります。
フランチャイズ加盟できる企業はある?
たこ焼き屋の開業を検討する際、個人でゼロから始める以外に、フランチャイズに加盟するという選択肢もあります。
いくつかのたこ焼きチェーンがフランチャイズ展開をしています。
フランチャイズ展開しているたこ焼きチェーン
- 築地銀だこ(株式会社ホットランド): 全国的に展開している大手たこ焼きチェーン。フランチャイズ加盟のハードルは高いですが、知名度やブランド力は圧倒的です。
- じゃんぼ総本店(株式会社日本一フードサービス): 関西を中心に展開している大手たこ焼き・お好み焼きチェーン。こちらも一定の知名度と実績があります。
- その他地域密着型のチェーン: 特定の地域に特化した中小規模のたこ焼きチェーンでも、フランチャイズ展開をしている場合があります。
フランチャイズ加盟のメリット
ブランド力と知名度: 加盟店の知名度が高いため、開業当初からお客様を集めやすいです。
ノウハウの提供: 商品開発、調理方法、店舗運営、マーケティング、食材調達など、成功するためのノウハウを本部から提供してもらえます。
安定した仕入れ: 本部が一括で食材を仕入れるため、安定的かつ高品質な材料を確保しやすいです。
研修制度: 開業前に専門的な研修を受けられるため、未経験者でも安心してスタートできます。
融資を受けやすい: フランチャイズ本部が経営計画や実績を提供してくれるため、金融機関からの融資を受けやすくなる場合があります。
トラブル時のサポート: 経営上の悩みやトラブルが発生した際に、本部からアドバイスやサポートを受けることができます。
フランチャイズ加盟のデメリット
加盟金・ロイヤリティ: 加盟時に数十万~数百万円の加盟金が必要となり、売上に応じたロイヤリティ(毎月数%~10%程度)を本部に支払う必要があります。
自由度の低さ: メニュー、価格設定、店舗デザイン、販促活動など、本部の指示に従う必要があり、自身のアイデアや個性を出しにくい場合があります。
契約期間の拘束: 数年間などの契約期間があり、途中解約には違約金が発生することもあります。
本部の経営状況に左右される: 本部の経営が悪化したり、不祥事を起こしたりした場合、加盟店にも影響が及びます。
競合の可能性: 同じフランチャイズチェーンの店舗が近隣に出店することもあり、競合となる可能性があります。
フランチャイズ加盟を検討する際の注意点
- 複数の本部を比較検討する: 加盟金、ロイヤリティ、サポート内容、契約条件などを複数のフランチャイズ本部で比較し、自分に合ったところを選びましょう。
- 契約内容を熟読する: 契約書の内容を弁護士などの専門家に見てもらうことも検討し、不利な条件がないか確認しましょう。
- 既存加盟店の意見を聞く: 実際にそのフランチャイズに加盟しているオーナーから話を聞くことで、リアルな情報を得られます。
まとめ:たこ焼き屋の開業は計画と情熱が鍵
たこ焼き屋は、高い原価率の低価格商品でありながら、薄利多売で利益を上げることが可能なビジネスです。
年収1000万円という目標も、適切な立地の選定、徹底したコスト管理、そして効果的な集客戦略を組み合わせることで、十分に達成可能な範囲にあります。
お客様に「美味しいたこ焼き」と「心地よい体験」を提供し、リピーターを獲得するための情熱と努力が、成功への最も重要な鍵となることは間違いありません。