移動スーパー業界において、「とくし丸」の独走状態が続いています

 

とくし丸は名前の由来通り「徳島県」から生まれたビジネスモデルです。地方発のビジネスモデルとして業界で独走するのは極めて珍しいケースとも言えます

 

今回の記事では

  • 「とくし丸」が移動スーパー業界で独走している理由
  • 「はじ丸」との違いは?
  • 「とくし丸」の最低収入制度とは?

・・・に関して詳細を述べていきます

 

とくし丸が独走する理由は

 とくし丸が独走する最大の理由は

「御用聞き」に徹底した顧客目線

 ・・・にあります。

 

スーパーマーケットが広域から集客を目指すのに対し、とくし丸は特定の地域、特定の顧客層(高齢者や買い物困難者)に特化しています。

 

スーパーのように「広く浅く」ではなく「狭く深く」掘り下げていくビジネスモデルです。

 

個別訪問によるニーズ把握: 担当ドライバーは、「〇〇さんは今日、パンが欲しいだろうな」「最近足が悪いから、重いものは届けてあげよう」といった、きめ細やかな対応まで実践しています

 

当然、スーパーでは、ここまでの対応は出来ませんから明確な差別化になり得ます

 

「見守り」機能の提供: 特にコロナ以降は、高齢者の安否確認という側面も持ち合わせています。

 

定期的な訪問により、個別に異変を察知し、家族や関係機関に連絡するなどの「見守り」機能を提供しています。

 

この役割も開業当初は、余り知られていませんでしたが「とくし丸」の知名度・実績がアップしたことで「地域の見守り」機能も果たすようになったと言えます

 

これもスーパーでは手が出せない「とくし丸」独走の理由の一つと言えます

「とくし丸」独走の理由!独自のFCモデル

 とくし丸のFCモデルは、一般的なFCモデル(例コンビニなど)とは違います

明確な違いは下記の通りです

  • 「パートナーシップ契約」の重視: とくし丸は、フランチャイズ加盟者を単なる「加盟店」としてではなく、「パートナー」として位置付けています。地域の既存スーパーマーケットと提携し、そのスーパーの売れ残りや在庫を活用することで、商品の仕入れコストを抑えています。

 

  • 売上に応じた収益分配: ドライバーの主な収益源は、販売手数料です。販売額が増えれば増えるほど、ドライバーの収入も増えるため、ドライバー自身のモチベーション向上に繋がります。また、商品の売れ残りのリスクはスーパーマーケット側が負担するため、ドライバーは在庫を抱えるリスクが少ないというメリットがあります。

 

商品の売れ残りは(本来であれば)廃棄となり、オーナー負担になるのですが「とくし丸」の場合は違います

 

負担するのは提携している「スーパー」なのです

 

これは豆腐の移動販売している私からすると夢のような話ですね

 

移動販売の場合「廃棄」は「売上」同じくらい事業者としては悩むものです。

 

その「悩み」を初めからは考えなくても良い

これも目立たないですが「とくし丸」が独走する理由の一つであると言えます

「はじ丸」との違いは?

「はじ丸」は、移動スーパー業界において「とくし丸」に続く存在として注目されていますが、そのビジネスモデルや戦略にはいくつかの違いが見られます。

運営主体と提携戦略

  • とくし丸: 株式会社とくし丸(オイシックス・ラ・大地の子会社)が運営しています。創業以来、地域の中小スーパーマーケットとの連携を重視し、全国各地のスーパーとパートナーシップを結んでいます。それぞれの地域の既存スーパーのネットワークを活用することで、迅速な展開を可能にしています。

 

  • はじ丸: 主に大手小売企業が自社で展開するケースが多いです。例えば、イオンリテールが展開する「移動販売」サービスが「はじ丸」という名称で呼ばれることがあります。この場合、自社の既存のサプライチェーンや物流網、商品調達力を最大限に活用することが特徴です。

商品ラインナップと価格設定

  • とくし丸: 提携先のスーパーマーケットの商品を中心に販売するため、その地域の一般的なスーパーとほぼ同じ品揃えです。価格も提携先のスーパーの店頭価格と同程度、もしくは若干の上乗せがある程度です。日用品や食品だけでなく、顧客の要望に応じて、提携先のスーパーで取り扱っている商品であれば何でも対応しようとする柔軟性があります。

 

  • はじ丸: 運営母体の大手スーパーの商品が中心となります。PB(プライベートブランド)商品や、大手ならではの幅広い品揃えが特徴となる場合があります。価格設定については、運営母体の方針によって異なりますが、自社での一元管理がしやすいため、大規模なキャンペーンなどを行いやすい可能性があります。

 

結論から書くと「とくし丸」と「はじ丸」との価格面での「差」は殆ど無いと言えます

では、独走する「とくし丸」と「はじ丸」との「差」は如何に・・・

FCモデルとドライバーへのサポート

  • とくし丸: フランチャイズ契約を結び、個人事業主であるドライバーが独立して運営します。とくし丸本部がノウハウ提供、車両の手配、ルート設定のアドバイスなど、開業から運営までをトータルでサポートします。ドライバーは売上に応じた手数料を得るモデルです。

 

  • はじ丸: 大手小売企業が直営、または業務委託契約を結ぶ形で運営するケースが多いです。一般的に、直営の場合は福利厚生などが充実している可能性があり、業務委託の場合は企業からの指示に基づいて運行することが多くなります。

 

個人的には「どくし丸」と「はじ丸」との「差」は、このビジネスモデルでの「差」だと考えています

とくし丸

FC展開のメリットを生かして全国に販売網を広げて独占状態に短期間で成長した。またFCオーナーも投資金額を掛けている為に、覚悟を決めて事業に取り組んでいると言えます

はじ丸

直営・業務委託契約の為に販売網を広げるには若干、時間が掛かっている点は否定できないです。またFCオーナーと違い、多額の投資金額を掛けていない点では「とし丸」のオーナーと比較すると本気度では劣るかも知れないですね

「とくし丸」の最低収入制度

 「とくし丸」の最低保証制度は、開業したばかりのドライバーが安心して事業に専念できるよう、初期の収入を一定期間保証する制度です。

 

これは、独立当初のFCオーナーの不安を払拭すると共に「とくし丸の独走状態」の大きな理由とも言われています

最低収入制度33万円の詳細

  • 最大半年間
  • 月間25日営業の場合
  • 開業から180日間

最低収入制度の注意点

  • 契約内容の確認: 最低保証の具体的な金額、期間、条件などは、契約書に明記されています。開業を検討される際は、必ず契約書の内容を詳細に確認し、不明な点はとくし丸本部に問い合わせることが重要です。

 

  • 保証期間終了後の計画: 最低保証期間が終了すると、収入は純粋に売上に応じた手数料のみとなります。そのため、保証期間中にいかに安定した顧客基盤を築き、売上を伸ばせるかが、その後の事業継続の鍵となります。

最低収入制度は、とくし丸がFCオーナーの安定を重視し、長期的なパートナーシップを築こうとする姿勢の表れと言え、「はじ丸」を始め他社の追随を許さない大きな理由です

「とくし丸」は今後も伸びるか?

「とくし丸」は今後も高い成長性が見込まれると考えられます。その理由は、下記の通りです

超高齢化社会のさらなる進展

日本は世界でも類を見ない速さで高齢化が進んでおり、今後もその傾向は続くと予測されています。

 

  • 買い物困難者の増加: 足腰が弱くなる、運転免許を返納する、公共交通機関が不便な地域に住むなど、高齢者が買い物に困難を感じるケースはますます増加します。

 

  • 介護予防・見守りニーズの増大: 買い物支援だけでなく、ドライバーによる「見守り」機能は、地域包括ケアシステムの一環としても重要性が増しています

競合との差別化の維持

「はじ丸」のような競合も出現していますが、とくし丸はこれまでの実績と独自の強みで差別化を図り続けるでしょう。

 

  • 先行者利益とブランド力: 長年の実績と全国的な展開により、「とくし丸」のブランドイメージは確立されており、顧客からの信頼も厚いです。

 

  • ドライバーの質の高さ: とくし丸は、単なる配達員ではなく、「御用聞き」として顧客との信頼関係を重視するドライバーの育成に力を入れています。この「人」を介したサービスは、機械化された宅配サービスでは代替できない大きな強みです。

まとめ「とくし丸」の課題

 移動スーパーで独走する「とくし丸」ですが今後の課題もあります

  • ドライバーの確保と育成: サービス拡大には、質の高いドライバーの確保と育成が不可欠です。労働力不足が懸念される中で、魅力的な労働条件や研修制度の充実が求められます。

 

  • 燃油価格の高騰: 移動スーパーは車両で移動するため、燃油価格の変動は収益に影響を与えます。効率的なルート設定や電気自動車の導入なども検討されるでしょう。

 

  • 競合他社の動向: 大手企業の参入や、新たな宅配サービスとの競争は激化する可能性があります。常に顧客ニーズを捉え、サービスを向上させ続ける必要があります。

 

これらの課題に対し、とくし丸が適切な対策を講じ、その強みをさらに伸ばしていくことで、更なる「とくし丸」の独走状態は加速すると予想されます