豆腐の移動販売で最も成功した例は豆吉郎だと言われています

単に豆腐を売るだけの仕組みではなく全国でフランチャイズ加盟者を募り、業界で初めて株式を売却して莫大な
利益を生んだと言われています

この記事では

 

豆吉郎の社長は誰
豆吉郎のFC数と売上高
西日本新聞社が株式取得した理由

・・・に関して深堀していきます

豆吉郎の社長は誰?

株式会社豆吉郎は、宮嵜太郎氏によって創業されました。

 

宮嵜氏は24歳だった2005年にわずか10万円の開業資金で豆吉郎を立ち上げました。彼は、フランチャイズ(FC)モデルを導入することで全国展開を実現し、移動販売業界で大きな成功を収めました。

 

宮嵜氏は豆吉郎の創業から約12年後の2017年7月に、西日本新聞社に全株式を売却し、経営から退いています。

 

その後はベンチャーキャピタリストとして活動したり、自身の経験を活かしてフランチャイズに特化した「日本FCファンド」を設立するなど、多岐にわたる活躍をされています

豆吉郎のFC契約数と売上高

全国展開の規模と販売員数

宮嵜氏が西日本新聞社に売却する前の2017年時点では、豆吉郎は西日本を中心に25営業所、移動販売車両125台を展開していました。

 

これは、当時としては全国最大の移動販売組織を構築・運営していたことを意味します。

 

現在の具体的な契約販売員数については、公式サイトに「販売員数 90名(業務委託)」と記載がありますが、これは2022年3月時点の情報であり、常に変動する可能性があります。全国展開の過程で、多数の個人事業主である販売員と業務委託契約を結び、各地域での販売網を構築していきました。

 

販売員は「御用聞き」として顧客の自宅を訪問し、ただ商品を売るだけでなく、コミュニケーションを通じて信頼関係を築くことを重視しています。この点が、単なる移動販売とは一線を画し、多くの顧客に支持される理由となっています。

売上高

宮嵜氏のインタビュー記事や関連情報によると、彼が豆吉郎を創業から売却に至るまでに、グループ会社累計で売上高100億円を達成したとされています。

 

これは、わずか10万円の開業資金からスタートした事業としては驚異的な数字であり、豆腐の移動販売というニッチな市場でこれだけの規模に成長させた宮嵜氏の手腕がうかがえます。

 

 

ただし、この100億円という数字は「グループ会社累計」であるため、株式会社豆吉郎単体の売上高とは異なります。

具体的な年間売上高の推移については公開情報が限られていますが、M&Aが行われた2017年頃には、順調に業績を伸ばしていたと報じられています。

 

移動販売のニーズの高まりや、高齢化社会における買い物弱者の増加といった社会背景も、豆吉郎の成長を後押しした要因として挙げられます。

西日本新聞社が全株式を取得した理由と金額

西日本新聞社が株式会社豆吉郎の全株式(正確には創業者の宮嵜氏が保有する株式の90%)を取得したのは、2017年7月のことです。

 

 

このM&A(企業の合併・買収)は、双方にとって戦略的な意味合いを持つものでした。

 

西日本新聞社が株式を取得した理由

西日本新聞社が豆吉郎の株式を取得した理由は、主に以下の点が挙げられます。

 

  1. 新規事業領域への参入と多角化: 西日本新聞社は、新聞業界全体の構造変化やデジタル化の進展に伴い、新たな収益源の確保と事業の多角化を模索していました。地域に根ざした媒体である新聞社が、地域住民の生活に密着したサービス事業に参入することは、既存のネットワークやブランド力を活かせる点で大きなメリットがありました。移動販売は、高齢化社会において需要が高まる分野であり、将来性のある事業として評価されたと考えられます。

 

  1. 地域貢献と社会課題解決への取り組み: 豆吉郎のビジネスモデルは、買い物弱者と呼ばれる高齢者や交通手段がない地域住民に対して、自宅まで商品を届けることで生活を支援するという、極めて社会貢献性の高いものです。

 

 

西日本新聞社は、地域の「公共財」としての役割を重視しており、豆吉郎の事業は、同社のCSR(企業の社会的責任)活動や地域貢献の理念と合致すると判断されました。新聞を通じて情報を届けるだけでなく、直接的に地域住民の生活をサポートすることで、企業としての存在意義をさらに高める狙いがあったと推測されます。

 

 

  1. 新たな顧客接点の創出: 新聞離れが進む中で、豆吉郎の販売員が顧客の自宅を訪問するスタイルは、西日本新聞社にとって新たな顧客接点となり得ます。豆吉郎の販売網を通じて、新聞購読を促したり、西日本新聞グループの他のサービスを紹介したりといったシナジー効果も期待されたでしょう。地域に密着したビジネス展開は、新聞社が持つ情報ネットワークや地域イベントとの連携においても有利に働きます。

 

  1. 安定した収益基盤の獲得: 豆吉郎は、売上高100億円を達成するほどの成長企業であり、安定した収益基盤を有していました。新聞事業の収益が伸び悩む中で、成長分野である移動販売事業を取り込むことで、グループ全体の収益安定化を図る狙いがあったと考えられます。

 

  1. M&Aによる成長戦略: 近年、多くの企業がM&Aを成長戦略の一つとして位置づけています。ゼロから新規事業を立ち上げるよりも、既に実績があり、ノウハウが確立された企業を買収する方が、時間やコストを抑えつつ、迅速に事業を拡大できるというメリットがあります。

 

株式の取得金額

西日本新聞社が株式会社豆吉郎の全株式(宮嵜氏が保有していた90%)を取得した際の具体的な金額については、公開されていません。

 

 

M&Aにおける買収金額は、企業の機密情報として一般に公開されないことがほとんどです。

 

 

ただし、一般的にM&Aの買収金額は、対象企業の売上高、利益、資産、将来性、保有するノウハウやブランド価値などを総合的に評価して決定されます。

 

 

豆吉郎が当時「グループ会社累計売上100億円」を達成し、全国最大の移動販売組織を構築していたこと、そしてその社会貢献性と将来性を考慮すると、決して安価な金額ではなかったと推測されます。

 

 

数億円から数十億円規模での取引であった可能性も考えられますが、これはあくまで一般的なM&Aの傾向からの推測に過ぎません。

 

 

宮嵜氏自身が「個人経営の延長での運営に限界を感じ、売却を決意」したと述べていることから、企業規模の拡大に伴う組織体制の強化や、より大きな資本力による事業展開を見据えていたことがうかがえます。

 

 

西日本新聞社という大手企業にグループ入りすることで、豆吉郎は資金面や人材面でのサポートを受け、さらなる事業拡大の可能性を得たと言えるでしょう。

豆吉郎のビジネスモデルの特長と強み

改めて、豆吉郎のビジネスモデルの特長と強みをまとめます。

 

  • 社会貢献性: 買い物弱者への支援という社会課題解決に直結しており、社会的なニーズが高い。
  • フランチャイズモデル: 少額の初期投資で個人が独立・起業できる機会を提供し、迅速な全国展開を可能にした。
  • 「御用聞き」スタイル: 単なる販売だけでなく、顧客とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、リピーターを獲得する。孤独な高齢者の話し相手になるなど、販売員が地域コミュニティの一員としての役割を果たす。

 

  • 商品力: 豆腐を主力としつつ、季節ごとの旬の食材や日用品なども取り扱うことで、顧客の多様なニーズに対応。安心・安全な商品を提供することで、ブランドイメージを確立。
  • 低コストでの運営: 専用車両での移動販売のため、実店舗を持つよりも運営コストを抑えられる。
  • 顧客の囲い込み: 一度利用すれば、その利便性から継続利用に繋がりやすく、安定した顧客基盤を構築できる。

まとめ

株式会社豆吉郎は、宮嵜太郎氏が2005年に創業した豆腐の移動販売会社です。彼はわずか10万円の開業資金からスタートし、フランチャイズモデルを導入することで全国へと事業を拡大。

 

ピーク時には西日本を中心に25営業所、125台の車両を展開し、グループ累計で100億円の売上を達成するほどの成功を収めました。

 

2017年7月には、西日本新聞社が宮嵜氏の保有する株式の90%を取得し、豆吉郎は西日本新聞グループの一員となりました。

 

 

豆吉郎のビジネスモデルは、高齢化社会における買い物弱者支援という社会貢献性と、フランチャイズによる効率的な全国展開、そして販売員が顧客と深い信頼関係を築く「御用聞き」スタイルが融合した、非常にユニークかつ成功した事例と言えるでしょう。