私は豆腐の移動販売を独自の方法で展開しているのですが、御客様の中には「とくし丸」と併用している方も多いです
私からすると「とくし丸」の価格は非常に良心的だと想うのですが、御客様の中には「とくし丸は高い」と言われる方も結構居られます
- 果たして「とくし丸は高い」のか?
- それでも「来てほしい」との声が多いのは何故なのか
真相を深堀していきます
とくし丸は高いのか?
「とくし丸」は、軽トラックに生鮮食品や日用品を満載し、高齢者や買い物弱者の自宅前まで巡回する「移動スーパー」として、全国各地で展開されています。
その利便性の高さから多くの地域で歓迎されている一方で、インターネット上などでは「とくし丸の商品は高い」という声も散見されます。
では、実際のところ、とくし丸の商品は本当に「高い」のでしょうか?
その背景と理由を探ってみましょう。
まず、結論から言えば、一般的なスーパーマーケットの店頭価格と比較すると、とくし丸の商品の多くは「高め」に設定されていることがほとんどです。
これはとくし丸のビジネスモデルと運営コストに深く関係しています。
独自の料金システム「1品につき10円の上乗せ」
とくし丸は、提携するスーパーマーケットから商品を仕入れ、それを移動販売車で販売します。その際、商品の仕入れ値に加えて、1品につき原則として10円(税抜き)が上乗せされるという独自の料金システムを採用しています。
これは、とくし丸の運営主体である「とくし丸本部」が設定している基本ルールであり、この10円がフランチャイズオーナー(販売パートナー)の収益源の一部となります。
例えば、スーパーで198円(税抜き)で販売されている牛乳が、とくし丸では208円(税抜き)となる、といった具合です。数百円の商品であれば10円の上乗せは数%程度ですが、数十円の菓子パンなどになると、上乗せ率が高く感じられるかもしれません。
移動販売ならではの運営コスト
とくし丸の価格設定には、移動販売ならではの特殊なコストが反映されています。
- 人件費と車両維持費: 軽トラックの運転、商品の積み下ろし、販売、そしてルート設定や顧客管理など、販売パートナー一人ひとりの労力は非常に大きいものです。車両のガソリン代、メンテナンス費、保険料なども考慮に入れる必要があります。一般的な店舗型スーパーと異なり、顧客一人ひとりの自宅前まで商品を届ける「戸別訪問型」のサービスであるため、その手間とコストは必然的に高くなります。
- 少量多品種の仕入れ・管理コスト: 限られたスペースの軽トラックに、生鮮食品(野菜、果物、肉、魚)、加工食品、調味料、パン、牛乳、日用品など、約400品目もの多種多様な商品を積んでいます。これは、顧客の様々なニーズに応えるためですが、その分、仕入れや在庫管理には細やかな手間とコストがかかります。また、鮮度を保つための冷蔵・冷凍設備も必要不可欠です。
- 顧客への個別対応: とくし丸は単に商品を売るだけでなく、顧客との会話を通じてニーズを把握し、次回の品揃えに反映させるなど、きめ細やかな個別対応を行っています。これも、一般的な店舗型スーパーでは提供できない付加価値であり、そのサービスには当然コストがかかっています。
「スーパーの価格」と「宅配の価格」の中間的位置づけ
とくし丸の価格設定は、一般的なスーパーの店頭価格と、生協の宅配サービスやネットスーパーなどの「宅配サービス」の価格の中間、あるいはやや上方に位置すると考えられます。
宅配サービスも、自宅まで届けてくれる利便性の代償として、送料や手数料、あるいは商品価格自体にコストが上乗せされているのが一般的です。
とくし丸は、そのような宅配サービスと比較すれば送料がかからない分、あるいは「その場で現物を見て選べる」という点で優位性がありますが、その利便性と手間賃として、10円の上乗せという形で価格に反映されていると理解できます。
結論として、「とくし丸は高い」という声は、価格だけを単純に比較すれば事実であると言えます。
しかし、その「高さ」は、顧客の自宅前まで商品を届け、対面で販売するという、とくし丸ならではのきめ細やかなサービスと、それに伴う運営コストを考慮すれば、決して不当なものではない、と考えることができます。
とくし丸に来て欲しい!
価格が一般的なスーパーよりも高めであるにもかかわらず、なぜ多くの地域で「とくし丸に来て欲しい!」という声が上がり、実際に利用者が増えているのでしょうか。
それは、とくし丸が提供する「価格以上の価値」に他なりません。
買い物困難者にとっての「命綱」
とくし丸が最も必要とされているのは、高齢者や、病気・怪我などで外出が困難な方々、そして近くにスーパーがない「買い物弱者」と呼ばれる人々です。
彼らにとって、とくし丸は単なる買い物手段ではなく、生活を支える上で不可欠な「命綱」となり得ます。
- 物理的な負担の軽減: 重い食料品や日用品を遠くのスーパーまで買いに行き、自宅まで運ぶのは、高齢者にとっては大きな負担です。とくし丸は、自宅の玄関先まで来てくれるため、その労力を完全に解消してくれます。
- 交通手段の確保が不要: 自家用車が運転できない、公共交通機関が不便、といった交通手段の問題を抱える人々にとって、とくし丸は非常に重宝されます。
- 欲しいものを「見て」選べる安心感: ネットスーパーやカタログ販売では、商品の現物を見ることができません。しかし、とくし丸では、新鮮な野菜や果物、肉、魚などを実際に自分の目で見て、触って、納得してから購入することができます。これは特に生鮮食品においては、利用者にとって大きな安心材料となります。
地域コミュニティの活性化と「見守り」機能
とくし丸の真価は、単なる買い物代行サービスに留まりません。地域社会における重要な役割も担っています。
- 対面でのコミュニケーション: 販売パートナーは、単に商品を販売するだけでなく、利用者との会話を大切にしています。世間話や体調の気遣い、ちょっとした相談事など、利用者にとっては貴重なコミュニケーションの機会となります。特に一人暮らしの高齢者にとっては、孤独感を和らげる大切な時間となることもあります。
- 安否確認・見守り機能: とくし丸は、地域住民の生活リズムに深く入り込みます。
定期的に自宅を訪問することで、利用者の体調や生活状況の変化を把握しやすくなります。
もし異変があれば、家族や地域包括支援センターなどに連絡するといった「見守り」の役割を自然と果たしています。
実際に、とくし丸の販売パートナーが、利用者の体調不良や異変を早期に発見し、適切な対応に繋がった事例も多数報告されています。これは、地域社会のセーフティネットとして非常に重要な機能です。
- 地域ニーズの吸い上げ: 利用者との直接の対話を通じて、地域で本当に必要とされている商品やサービスに関する情報を吸い上げることができます。これにより、品揃えを改善したり、新たなサービス展開のヒントを得たりするなど、地域に密着したサービス提供が可能になります。
「買い物に行く楽しみ」の提供
外出が困難な人々にとって、買い物は単なる義務ではなく、ささやかな楽しみでもあります。とくし丸は、その「楽しみ」を自宅まで届けてくれます。
- 季節の旬を感じる: 移動販売車に並んだ旬の野菜や果物を見ることで、季節の移ろいを感じ、食卓に彩りを加えることができます。
- 選ぶ喜び: 限られたスペースではありますが、様々な商品の中から自分の欲しいものを選ぶ行為自体が、利用者の生活に張りと楽しみをもたらします。
- 社会とのつながり: とくし丸が来る日は、自宅に人が訪れる日であり、社会との接点を持つ日でもあります。これにより、社会から隔絶される感覚を防ぎ、精神的な健康にも寄与します。
これらの点を総合すると、「とくし丸は高い」という価格面でのデメリットは、それ以上に「生活の質を高める」「安心を提供してくれる」「社会とのつながりを維持してくれる」といった、かけがえのない価値によって補われていると言えるでしょう。
特に、買い物に不自由を感じている人々にとって、とくし丸は「価格以上の価値」がある、なくてはならない存在なのです。
とくし丸の申し込み方法は?
とくし丸の利用を検討されている方のために、申し込み方法と利用の流れについて解説します。
とくし丸は全国各地で展開していますが、地域によって提携スーパーや運行ルートが異なるため、まずはご自身の居住地域にとくし丸が来ているかを確認することが第一歩となります。
「とくし丸」公式サイトで運行状況を確認
最も確実な方法は、とくし丸の公式サイトにアクセスすることです。
- とくし丸 公式サイト: https://www.tokushimaru.jp/
- 公式サイトのトップページや「お店を探す」「運行エリア」といった項目から、お住まいの郵便番号や都道府県・市区町村を入力して検索することができます。
- 検索結果で、ご自身の地域をカバーしているとくし丸の提携スーパーや販売パートナーの情報が表示されます。場合によっては、担当者の連絡先が掲載されていることもあります。
最寄りのとくし丸販売パートナーに直接連絡
公式サイトで担当販売パートナーの連絡先が分かれば、直接電話で問い合わせるのが最もスムーズです。
- 電話で伝えること:
- お名前と住所(番地まで正確に)
- とくし丸の利用を希望している旨
- 普段の買い物状況(例:足が悪くてスーパーに行けない、免許がないなど)
- 具体的な利用希望日時(例:毎週〇曜日の午前中など)
とくし丸のコールセンターや運営会社に問い合わせ
公式サイトで情報が見つからない場合や、直接販売パートナーに連絡するのに抵抗がある場合は、とくし丸のコールセンターや運営会社に問い合わせることも可能です。
公式サイトには問い合わせフォームや電話番号が記載されていることが多いです。
- 問い合わせ時に伝えること:
- お名前と住所
- とくし丸の利用希望
- ご自身の地域にとくし丸が来ているか知りたい旨
申し込みから利用開始までの流れ(一般的なケース)
- 問い合わせ・相談: 上記の方法でとくし丸に連絡すると、担当の販売パートナーから連絡が入ります。
- 訪問・ヒアリング: 販売パートナーが一度ご自宅を訪問し、とくし丸のサービス内容や利用方法、希望する商品、訪問頻度などを詳しく説明してくれます。この時に、現在の冷蔵庫の状況や、普段困っていることなども相談できます。
- ルートへの組み込み: ヒアリング内容に基づき、販売パートナーが既存のルートに組み込めるか、あるいは新たなルートを検討します。訪問日時や曜日が決定されます。
- 初回訪問・利用開始: 決定した日時でとくし丸がご自宅まで訪問し、実際に商品の販売が始まります。初回の訪問時に、利用方法について再度確認することもできます。
利用上の注意点
- 運行ルートの確認: とくし丸は、地域の需要や効率性に基づいて運行ルートが設定されています。そのため、お住まいの地域によっては、とくし丸がまだ運行していない、あるいは希望する曜日・時間帯に訪問できない場合があります。
- 個人情報と安全: 自宅に販売パートナーが訪問することになるため、不安な場合は事前に身分証明書の提示を求めるなど、とくし丸本部や提携スーパーを通じて確認することをお勧めします。(通常、販売パートナーは身分証を携帯しています。)
- 現金決済が基本: 多くの場合、現金決済が基本となります。小銭の準備をしておくとスムーズです。一部、電子マネーに対応しているケースもありますが、事前に確認が必要です。
- 予約・リクエスト: 特定の商品を確実に購入したい場合は、事前に販売パートナーにリクエストしておくことができます。次回訪問時に用意してくれるなど、柔軟に対応してくれることが多いです。
とくし丸は、単に商品を運ぶだけでなく、地域の暮らしを支える大切なインフラとなりつつあります。
ぜひお住まいの地域でとくし丸が運行しているか確認し、その利便性と価値を体験してみてください。