移動スーパーでは「とくし丸」が独走状態ですが、新たに「はじ丸」がフランチャイズ展開で伸びています
この記事では
- とくし丸との違い
- フランチャイズの概要
- 成功するポイント
・・・を深堀していきます
移動スーパー「はじ丸」フランチャイズの概要
移動スーパー「はじ丸」は、地域住民、特に高齢者や買い物弱者と呼ばれる方々の生活を支える、新しい形のリテール事業です。
軽トラックに生鮮食品や日用品を積載し、決まったルートで地域を巡回し、自宅前まで商品を届けて販売します。
事業コンセプトと社会的意義
「はじ丸」の最大のコンセプトは、「買い物難民」と呼ばれる方々の支援です。
店舗まで足を運ぶのが困難な高齢者や、近隣にスーパーがない地域の方々にとって、移動スーパーは単なる買い物だけでなく、生活の質を向上させる重要な役割を担っています。
- 地域密着型サービス: 地域住民一人ひとりのニーズに寄り添い、きめ細やかなサービスを提供します。
- コミュニケーションの場: 買い物を通じて、お客様との会話が生まれ、孤独の解消や見守りといった側面も持ち合わせています。
- SDGsへの貢献: 食品ロスの削減や地域活性化にも貢献できる、持続可能なビジネスモデルです。
フランチャイズシステムの主な特徴
「はじ丸」のフランチャイズシステムは、未経験者でも安心して開業できるよう、様々なサポート体制が整えられているのが特徴です。
- 初期投資: 移動販売車両（軽トラックを改造したもの）の購入・リース費用、商品仕入れ費用、加盟金などが主な初期投資となります。具体的な金額は、車両の状態や改造内容、契約内容によって変動しますが、数百万円程度が目安となるでしょう。
- 商品供給: 大手スーパーマーケットや卸業者との提携により、生鮮食品から加工食品、日用品まで、多様な商品を安定的に仕入れることができる仕組みが提供されます。これにより、品質の確保と商品ラインナップの充実が図られます。
- 研修・サポート: 開業前の座学研修や実地研修を通じて、販売ノウハウ、ルート設定、お客様対応、車両管理など、事業運営に必要な知識とスキルを習得できます。開業後も、スーパー本部やフランチャイズ本部からの継続的なサポートが期待できます。
- ロイヤリティ: 売上や利益に応じたロイヤリティ（定額または定率）を本部に支払うのが一般的です。これにより、本部の継続的なサポートやシステム利用の対価となります。
- 商圏保護: 加盟店間の過度な競合を防ぐため、一定の商圏保護が設定されることが多いです。
運営モデル
オーナー自身が販売員となり、決められたルートを回るのが基本スタイルです。
- ルート販売: 事前に計画されたルートを毎日（または週に数回）巡回し、各訪問先で停車し、お客様が直接商品を選んで購入します。
- 注文販売: 事前にお客様から注文を受け、次回訪問時に商品を届けるといったサービスも併せて提供することが可能です。
- 単独運営: 多くの場合、オーナー自身が運転から販売までを一人で行うため、人件費を抑えることができます。
移動スーパー「とくし丸」との違い
移動スーパー業界のパイオニア的存在である「とくし丸」は、その成功事例から多くの新規参入者にとってベンチマークとなります。
はじ丸を検討する上で、「とくし丸」との違いを理解することは非常に重要です。
運営会社と歴史
- とくし丸: 徳島県で生まれ、後に株式会社とくし丸として設立。現在はオイシックス・ラ・大地株式会社の子会社となっています。全国展開の歴史が長く、加盟店数も業界トップクラスです。
- はじ丸: 移動スーパー「はじ丸」を運営しているのは、ソレイユグループです。具体的には、ソレイユグループ傘下の株式会社シェリールが運営しています。また、フランチャイズ展開もしており、例えば、なかじまグループが静岡市清水区で移動スーパー「はじ丸」を運営しています。
商品供給元
- とくし丸: 全国各地のスーパーマーケットと提携し、そのスーパーの既存店舗から商品を供給しています。例えば、イオン、イトーヨーカドー、西友、ライフなど、大手スーパーとの連携が強みです。これにより、各地域の顧客ニーズに合った商品ラインナップが可能です。
- はじ丸: フランチャイズ本部が提携するスーパーや卸業者からの供給が基本となります。とくし丸同様、地域のスーパーと連携しているケースもあれば、独自のサプライチェーンを構築している可能性もあります。供給元の種類や品揃えの幅、価格帯が異なる場合があります。
加盟条件・費用体系
- とくし丸: 加盟金、車両費用、研修費用などがかかります。ロイヤリティは固定額（月額数万円）とされており、売上が増えれば増えるほど、オーナー側の利益率が高まるモデルです。
- はじ丸: 加盟金、車両費用、商品仕入れ費用、ロイヤリティなどがかかります。ロイヤリティの体系が定額か定率か、または複合型か、は本部によって異なります。このロイヤリティ体系は、オーナーの収益性に直結するため、詳細な確認が必要です。
サポート体制とノウハウ
- とくし丸: 長年の実績に基づく豊富なノウハウと、オイシックス・ラ・大地という大手企業の傘下であることによる安定したサポート体制が強みです。全国規模の研修や情報共有の仕組みが確立されています。
- はじ丸: 比較的新しいフランチャイズであれば、本部が提供するサポートの内容や質、ノウハウの蓄積度合いを確認することが重要です。地域密着型を強みとしている場合、きめ細やかな個別サポートが期待できるかもしれません。
ターゲット層と差別化
- とくし丸: 主に高齢者や買い物困難者をターゲットとしており、そのニーズに応じた商品構成やサービスを提供しています。
- はじ丸: とくし丸と同様のターゲット層に加え、地域イベントへの出店、特定の食品（オーガニック、地産地消など）に特化するといった、独自の差別化戦略を打ち出している可能性があります。
【結論】
「とくし丸」は業界の最大手であり、安定したノウハウとブランド力を持つ一方、「はじ丸」は、その分だけ新しい試みや地域特化の柔軟性、あるいは加盟条件の優位性を持っている可能性があります。
両者を比較検討する際には、ロイヤリティ体系、提供されるノウハウの質、サポート体制、そして何よりも商品供給元の安定性と品揃えを重点的に確認することが重要です。
「はじ丸」成功するためのポイント
移動スーパー事業で成功し、安定した収益を上げるためには、以下のポイントをしっかりと押さえる必要があります。
徹底した顧客理解とコミュニケーション能力
移動スーパー事業の核となるのは、お客様との人間関係です。
- ニーズの把握: お客様が本当に求めている商品、好きな商品、アレルギー情報などを把握し、次回の品揃えに活かすことで、顧客満足度を高めます。
- 細やかな気配り: 「〇〇さん、今日は大根安くなっていますよ」「前回お求めいただいた醤油、残り少なくなっていませんか？」など、一人ひとりに合わせた声かけや提案が信頼関係を築きます。
- 傾聴と共感: 買い物だけでなく、お客様のちょっとした世間話や悩みを聞いてあげることで、見守りや孤独解消にも繋がり、お客様にとってかけがえのない存在となります。
ルート設定と効率的な巡回計画
売上はルートの効率性と、訪問できるお客様の数に直結します。
- 効率的なルート: 無駄のないルートを設定し、移動時間や燃料費を最小限に抑えながら、多くのお客様を訪問できるよう計画します。
- 訪問頻度と時間: お客様の生活リズムに合わせて、最適な訪問頻度と時間を設定します。例えば、午前中に集中して回る、午後に回るなど、柔軟な対応が求められます。
- 新規顧客開拓: ポスティング、地域の回覧板、自治会との連携などを通じて、積極的に新規顧客を開拓し、ルートを拡大していく努力が必要です。
- 商品知識と魅力的な品揃え
お客様が「また買いたい」と思う商品を提供することが重要です。
- 鮮度と品質: 特に生鮮食品は鮮度が命です。常に新鮮で高品質な商品を提供できるよう、仕入れと管理を徹底します。
- お客様のニーズに合わせた品揃え: 高齢者が買いやすい少量パック、介護食、日用品、地域限定品など、ターゲット層のニーズを深く理解し、それに応じた品揃えを心がけます。
- 季節感の演出: 旬の野菜や果物を取り入れたり、季節ごとのイベント（お正月、ひな祭りなど）に合わせた商品を展開したりすることで、購買意欲を刺激します。
- 車両管理と安全運転
移動スーパーは車両が店舗そのものです。
- 清潔感: 車両内外を常に清潔に保ち、お客様に安心して利用してもらえる環境を整えます。
- 商品管理: 冷蔵・冷凍設備の適切な温度管理を徹底し、食品の品質保持に努めます。
- 安全運転: 住宅街の狭い道や、高齢者が多い地域を走行するため、常に安全運転を心がけ、事故を起こさないことが最重要です。
資金管理と経営意識
個人事業主として、売上だけでなく、経費もしっかりと管理し、健全な経営を行うことが不可欠です。
- 収支計画: 毎月の売上目標と経費を明確にし、計画通りに事業が進んでいるかを確認します。
- 経費削減: 燃料費、車両維持費、消耗品費など、削減できる経費は徹底的に見直します。
- 税金・保険: 個人事業主としての税金、社会保険、車両保険など、各種手続きや支払いをきちんと行います。
体力と精神力
移動スーパーの仕事は、運転、商品の積載、お客様対応、販売、精算、片付けと、多岐にわたります。
- 体力: 重い荷物を運んだり、狭い場所での作業も多いため、ある程度の体力が必要です。
- 精神力: お客様からの感謝の言葉が大きなやりがいとなる一方、天候不順、車両トラブル、予期せぬ事態など、様々な困難に直面することもあります。そうした状況でも冷静に対応し、前向きに取り組む精神力が求められます。
まとめ：地域に貢献し、自身のビジネスを成功させる
移動スーパー「はじ丸」のフランチャイズ開業は、社会貢献性が高く、地域に必要とされるやりがいのあるビジネスです。
競合の「とくし丸」と比較検討し、自身の目指す事業モデルに合ったフランチャイズ本部を選ぶことが第一歩となります。
そして、成功の鍵は、単に商品を売るだけでなく、お客様一人ひとりに寄り添い、信頼関係を築く「人間力」にあります。
効率的なルート設定、魅力的な品揃え、徹底した品質管理、そして健全な経営意識を持ち続けることで、あなたの「はじ丸」は地域の人々にとってなくてはならない存在となり、同時に自身のビジネスを大きく成長させることができるでしょう。
